イラストレーター三井ヤスシさんの個展「K市の風景 母と子」が十日(金)まで、こども冨貴堂ギャラリーKIDS(七条買物公園)で開催中だ。

 三井さんは一九七六年(昭和五十一年)、山梨県生まれ、東日本大震災を機に旭川へ移住した。作家の東野圭吾や江國香織の本の装画を描いているほか、妻の中野葉子さんと共に出版社を立ち上げ、社会問題をテーマにした本も刊行している。

 同展では、三井さんの心象風景を描いた「K市の風景」シリーズ二十五点を展示するほか、これまでに刊行した本やポストカードなども販売している。

 描かれている「K市」は、十五年ほど前から三井さんが描いている架空のまち。当初は故郷の山梨県甲府市をモデルとしていたが、次第に三井さんの記憶にある、心(=Kokoro)の風景へと変化。結婚して子どもが生まれてからは、自然に母と子を風景の中に描き込むことが多くなり、近年は旭川の冬を連想させる雪景色も多くなったそうだ。

 三井さんは「母と子の関係や、その愛情の深さを表現したいと、自然に描いてきた作品です。自分なりの母子像ですが、見る人それぞれで、幼い時の記憶を思い返すのではないかと思います。また、被災地の母と子を思い浮かべる方も多く、『郡山市のKですか?』と聞かれたこともあります。見る方それぞれの受け止め方、感じ方をしていただけたら幸いです」と話している。

 同展の売上の一部は、チーム「今だから」が、この春から行なう原発事故放射能からの保養活動プロジェクト「しまふく廊」へ寄付される。

 入場無料。営業時間は午前十時から午後六時まで。問い合わせは、三井さんのメール(hope@mitsui-creative.com)まで。