“日雇い労働者の街”と呼ばれる大阪市西成区釜ヶ崎の「こどもの里」を七年間に渡り撮影したドキュメンタリー映画「さとにきたらええんや」の上映会が十二日、旭川大学短大校舎で行われた。旭川おとな食堂(代表=清水冬樹・旭大短期大学部准教授)の主催。

 「こどもの里」は三十八年前に開設され、障がいの有無や国籍にかかわらず、〇歳からおおむね二十歳までの子どもが無料で利用している。

 映画は知的障がいのある男の子と小さい頃から高校を卒業するまで母親と離れ、「さと」で暮らさざるを得なかった女の子の二人を中心に、涙あり笑いありの人情味豊かな「さと」の日常生活が描かれている。会場には子どもを含め、約六十人が集まった。

 上映会に先立ち、旭川で子ども食堂を運営する五人の代表者が、それぞれの取り組みを報告した。子ども食堂は児童センターや自宅、寺、大学などでほぼ月一回開催されている。地域の誰もが参加できるシステムで、主催者のほか多くのボランティアによって支えられている。

 清水代表は「東日本大震災後、心に傷を負った子どもたちが多くの大人たちと出会い、自分の思いを語る中で、大きく成長してきた。その姿から出会う人と共に、出会いの場がなくてはならなかった。子ども食堂は、子どもたちと大たちの居場所でもある。私の調査研究では、大人たちに支えられて成長した子どもたちは、次は支える側に回るようになる、思いやりの連鎖が起こっている」と、貧困な子ども対策としてスタートした子ども食堂が、子どもと大人が「出会い・語る場」、そして「居場所」になっていることの重要性を語った。

 上映会の後、参加者たちが互いの子ども食堂について情報交換する光景が見られた。おとな食堂は今後、定期的にイベントを行う予定だ。