日本財団が助成している車椅子を搭載できる福祉車輌が三月二十八日、NPO法人・福祉旭川共有会(稲垣則子理事長)が運営する「多機能型事業所きずな」(市内八ノ十八、川田利香統括施設長)に贈られた。二〇一八年度、道内では唯一の助成だ。

 きずなは、障がい者通所支援事業と生活介護事業を行っている。いずれも自宅や学校から事業所までの送迎が不可欠で、特に障がい児の利用者は、九割強が重度心身障がい児と医療的ケア児。一般車での乗降が困難な車椅子やバギーを使用する子どもがほどんどだ。これまで共有会が所有する三台の福祉車輌だけでは、利用児(者)のニーズに十分応えられていなかった。

 川田統括施設長は「北海道療育園と連携し、胃ろうや気管切開をしている医療的ケア児の受け入れ体制を取っています。利用児が増加傾向にあり、ますます福祉車輌が必要になっていました」と助成を申請した理由を説明する。

 昨年六月に申請し、十二月に助成決定の連絡を受けた。一八年度の申請数は約三千件。震災や洪水などの災害のため例年より申請が多かったという。その中で、道内でただ一カ所、助成を受けることができたのは、「きずなの事業内容が高く評価された結果」と福祉に詳しい市議は語る。

 念願の福祉車輌が届いたのは三月二十八日。利用者たちが福祉車輌を笑顔で迎えた。車輌は車椅子を二台搭載できる、日産・キャラバン。きずなが総体価格の約四割を負担し、寒冷地仕様に改修した。

 川田統括施設長は「助成していただいた福祉車輌は、利用児の送迎に役立てたい」と喜びを語った。