自伝的小説『道ありき』で、作家・三浦綾子が恋人の前川正と一緒に歩いた春光台へと通じる坂道について、郷土史愛好家と三浦文学ファンが調査し、「ここに間違いない」と公表した。その見学会が九日、十二人が参加して行われた。探し当てた坂道は、中原悌二郎記念彫刻美術館(旧偕行社)の横から春光台に向かって約一・五キロの地点を登り口とした緩やかな道だ。登り口付近はクマザサに覆われているが、春光台公園へと通じる坂道を登り切ったところには、数百メートルにわたり道の跡が残る。一九五〇年頃、三浦が前川と歩いた道をたどる見学会を取材した。

(佐久間和久記者)

2人で登った坂道は?
前川が石で足を打った
場所は?

 三浦文学の原点とも言われている『道ありき』に次の一節がある。小説の中で、最も重要な部分だ。

 「ある日彼は、わたしを春光台の丘に誘った。萩の花の多いその丘は、萩ヶ丘とも呼ばれていた。…一軒の家もなく、見渡す限りただ緑の野に、所々楢の木が丈高く立っている。この丘は、徳富蘆花の小説『寄生木』の主人公篠原良平が、恋の傷手に泣きながら彷徨した丘でもある。この丘には減多に来る人もなく、その日も丘の上には人影はなかった。旭川の街が、六月の日の下に、眠っているように静かだった」

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