笹の墓標展示館再生・和解と平和の森を創る実行委員会が、募金を呼び掛けています。

 雨竜管内幌加内町の雨竜ダム(朱鞠内湖)は、アジア太平洋戦争の真っただ中、一九四三年(昭和十八年)に完成しました。ダム工事には三千人に及ぶ朝鮮人労働者が強制的に動員され、劣悪な労働環境の下で多くの犠牲者を出しました。

 湖畔に建つ旧・光顕寺は、そうした戦時下の強制労働による死者を弔い、遺骨と位牌を安置してきた歴史的建造物です。一九九五年に本堂を改装して「笹の墓標展示館」と命名された建物は、主に次のような役割を果たしてきました。

 ①戦時下の朝鮮人強制労働者、日本人タコ部屋労働者の遺骨を発骨・安置して追悼するとともに、遺族に返還する事業の拠点。

 ②名雨線鉄道、雨竜ダムの工事をはじめ各地の強制労働資料と遺骨発掘の軌跡を保存・展示する、東アジア有数の歴史資料館。

 ③日韓共同ワークショップによる共同墓地の発掘、学校・団体の歴史学習など、民族や世代、国境を越えた交流の場。

 幌加内町は日本有数の豪雪地帯です。一九三二年に建立された旧光顕寺の建物は、八十八年の歳月を経て、今年二月ついに完全に倒壊してしまいました。

 近年、日本社会は露骨なヘイト・差別の横行が歴史的事実を否定する論調と相まって、政治や言論がそれらを助長する様相を呈しています。あたかも、光顕寺が建立された当時の、戦争前夜のファシズム時代の再来を思わせる情況です。

 実行委員会の殿平善彦・共同代表は、「募金を呼び掛けて三カ月ほどで、一千万円が寄せられ、驚いています。日韓政府の懸案である『徴用工問題』は、この場がまもり伝えてきた歴史と、人々の共同のあゆみこそが解決の道を示しています。共に力を出し合い、『旧光顕寺・笹の墓標展示館』(強制労働資料館)の再生と創造のための募金を、こころからお願いします」と呼び掛けています。

 目標金額は三千万円。完成予定は二〇二二年秋です。

 郵便振替は、番号(02750―3―103422)、名義「墓標展示館再生実行委員会」。銀行などゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む場合は、ゆうちょ銀行・店名九七八、普通、番号・1666384、名義「笹の墓標再生実行委員会」。

 問い合わせは事務局(深川市多度志六三〇 一乗寺内・TEL0164―27―2359、FAX0164―27―2890)、E―mail(info@sasanobohyo.com)へ。