当麻町のピザハウス・ココペリ(樋田守昭オーナーシェフ)で十四日夜、ちょっと変わった集いが開かれた。樋田さんの案内は「焚火(たきび)の実演会をするから、来てみない?」。

 同町で建築金物を製作する世良鉄工(三上正幸社長)が、個人ユーザー向けに初めて取り組んだという、「持ち運べるオーブン焚火台・アイアンオーブン」のお披露目会を開くという。

 聞きなれない「アイアンオーブン」とは何か。キャンプやバーベキューのときに焚火をして静かに眺める、というのがトレンドになっている。そこで、自身もアウトドアが趣味の三上社長は、焚火と調理機能を併せ持つアイテムを開発できないか、と考えた。それも、自社が得意とする高度な鉄加工の技術を駆使できる、新たな発想の製品を、と。

 当初は、鉄を使った。だが重量や錆の問題が出た。社員とともに試行錯誤を重ねて、試作数は二十台以上。たどり着いたのが、熱伝導がよく、錆にも強い、ある種のステンレス。側面には、レーザー加工機による、文字やエゾシカ、ヒグマなどの動物の形が切り抜かれている。

 上面では焼き肉、焼き台の下部にはピザやグラタンが焼けるオーブン。そして食事の後は、みんなで焚火を囲む――。

 三上社長は「うちは企業との取引が九八%でしたが、個人ユーザーとつながることで、『こうしてほしい』『こんな使い方があるよ』と直接声が聞ける。焚火は、人を集めてくれます。コロナ禍のご時勢でも、やることはあるんですね」と笑顔で話した。

 インターネットを通じて、全国から引き合いがあるという。プレゼントにするためオリジナルのデザインを注文するユーザーもいるそうだ。

 実演会には、クラフトビールの移動販売キッチンカー「とびあ」も登場し、町内の常連、商工会の仲間ら約三十人が集まって、アイアンオーブンの焚火を楽しみながら、焼き肉やビールを味わった。(工藤稔)