あさひかわ新聞にエッセーを連載している谷口雅彦さんの写真展「びじんぴくとりある」が、日本茶屋WHIZ(五ノ八、旭川はれて屋台村)で行われている。初日の六日、谷口さんは旭川市出身でハートをモチーフにした作品を創作している現代美術家の西村公一さんと対談を行った。狭い店内は十人の参加者で埋まった。

 昨年六月、ギャラリーカワバタ(川端町四ノ四)で行われた谷口さんの写真展に西村さんが訪れたのが、二人の最初の出会いだったという。二人はともに旭川生まれで、生まれ年も一九六七年と同じであることもあって、それ以降何回も会い、色々な話を重ねてきた。今回の対談は、その延長線上の一つ。
 展示されている写真は、女性を被写体としたモノクロ写真。

 西村さんは「女性のバックに写っている葉先の尖った植物や、襖が半分開けられた状態になっているところなど、女性よりも気になる。谷口さんは人物と植物、モノの垣根を超えた視点で写真を撮っている気がする」と印象を話した。

 谷口さんは「一九九五年から二〇〇一年にかけてモノクロ写真ばかりを撮っていた。フィルムから印画紙に焼き付けるこの方法だと、写真は百年持ちます。デジタル写真だと十年ぐらいでしょう。フィルム写真を撮っていた時は、意外とシャッターを切っていない。デジタルだと何百枚と撮っている。デジタルだと『モノを見ていない』可能性があります。見て撮ることは大切です」とフィルムとデジタルの違いについて語った。

 西村さんは病弱になった親を看るため、昨年、三十六年ぶりに旭川に帰ってきて、仕事の拠点・東京と旭川を行ったり来たりしている。谷口さんも、拠点にしている藤沢市と親と妻の住む旭川を往復する日々を送っている。二人は旭川とそれ以外の都市とを比べた、デザインに関する取り組みの違いなどにも触れた。

 会場からの「物事を成し得るのは、どうしたら…」という質問に。

 西村さんは「簡単に諦められない状態まで、自分を追い込むこと」と答えた。

 写真展は三十一日(月)まで。開店時間は午前十時から午後五時、午後六時から午後十時まで。水曜日定休。問い合わせは同店(TEL 070―2353―4188)へ。(佐久間和久)