創部以来の快挙
取材方法も高評価

 旭川工業高校新聞局が、優れた高校新聞を表彰する「第二十八回 全国高校新聞年間紙面審査賞」で、最高賞の「最優秀賞」(全国五校)を受賞した。一九四九年に創部以来、初の快挙となった。

 新聞名は「工高タイムス」。現在、一年生から三年生までの十二人がA三判(タブロイド判)二㌻を全校生徒と教職員向けに、毎月二回以上発行している。

 今回、審査の対象となったのは二〇二二年十一月から二三年十月まで発行したすべての号で、第四百四十四号から四百七十号までの二十七号分。

 講評には「非常に読みやすい新聞」「基本に忠実で無駄を省き、客観的な書き方をして、安定感がある」「『生活綴方事件』と『生活図画事件』シリーズは圧巻」「『被爆体験講話』や『知覧特攻平和会館』の記事が紙面に緊張感をもたらしている」などと評価されている。
 中でも、四百五十一号では「生活綴方事件」と「生活図画事件」の記事を読んだ生徒たちの感想を取材。「事件を生徒の中に浸透させ、さざなみからうねりを起こさせようとしている」「自分たち生徒も『知らなかった』では済まされない出来事であることを認識させている」と取材方法も高評価された。

 北島叶惟(かい)さん(17・三年生)は、「生き証人が少なくなってきていることから、高校生の目線で書いて広めていくことが大事だと思いました」と話す。

読んで分かりやすい
記事を心がける

 応募した二十七号の約四分の一弱に当たる六号の裏面に、生活綴方事件など治安維持法に関するものや被爆、特攻に関するものを取り扱った。学校に送られて来る講演会の案内をもとに取材に出かけたり、講演を聞き、ヒントを得て、取材対象を見つけ出すこともある。知らないことも多く、顧問の先生方のアドバイスも欠かせないという。

 「生活綴方事件や生活図画事件なんて、本当にあったのか? と疑問に思いましたが、生活綴方事件を題材にした、三浦綾子の『銃口』を読むと、本当にあったと思い知らされました」と菅原照太さん(17・三年生)は話す。

 記事のほとんどは、スポーツ・文化部が全国大会などで活躍し、好成績を残した記録やインタビュー記事、生徒会の活動報告などで構成。例年、その時期に行われる行事や大会は決まっているので、ネタに困ることはあまりないというが、突然、埋まらなくなることも…。そんな時は、「自分たちの身の回りの気付きを記事にする」と明かす。四百八十二号では「ペットボトルと空き缶の洗浄を ごみの分別の徹底を」のタイトルで、環境部の教諭やごみの処理をしている校務補、購買の店員を取材している。

 局長の佐々木晃成さん(17・三年生)は「いつも読んでわかりやすい新聞づくりを目指しています。最優秀賞はこれまでの局員が頑張ってきたことの証しで、本当にうれしい。後輩たちも、これからも頑張ってもらいたい」と期待した。(佐久間和久)