12月2日 創刊記念朗読会

『青芽』は私で終わり 2人に後継を託す

 創刊七十一年を誇る詩の同人誌『青芽』を主宰する富田正一さん(90)の志を受け継ぐ、詩誌『FRAGILE(フラジャイル・こわれものの意)』が創刊する。

 『青芽』の同人、木暮純さん(53)と柴田望さん(41)、旭北高卒でさいたま市在住の二宮清隆さん(70)の三人が同人。創刊号には、旭川市在住の山内真名さんも寄稿している。

 『青芽』は終戦間もない一九四六年(昭和二十一年)七月に創刊した。「戦争に負け、これからの日本はどうなるか。私は駅の雑踏の中で、人々の流れをだた見つめていました。そんな時、学校の担任が詩をやっていたことを思い出し、私も詩をやってみようと、級友らに呼びかけたら、あっと言う間に四十人が集まった。自分が書いたものが、誌面に出ることが嬉しくて仕方ない時代だった」と、当時十九歳だった富田さん。

 同人は会費を払って寄稿することを知らないで入会する人も多く、苦労したのは詩誌を毎月発行するための金策。「オヤジには随分助けられました」と振り返る。

 昭和三十年代は同人が百五十人に達した。だがその数も次第に減り、現在は四十人、発行も年三回になった。

 七十年を超えて発行を続ける詩誌は道内には見あたらない。富田さんは、「七十年を区切りに止めることを考えたが、全国から『止めないで』と声があり、続けてきた。だが、私も歳。そろそろ…と考え、木暮君と柴田君の二人に後を継いでもうことにした。二人は若いのに浮ついたところがなく、優秀だがおごりなども一切ない。『青芽』は私一代で終わり。新たな出発に彼らは『FRAGILE』を立ち上げた。私もできるだけ応援したいと思っている」と話す。

寄稿者4人 自作の詩を朗読

 木暮さんは旭川文学資料館に勤務。旭川に関する文学資料の整理・研究の毎日を送る。富田さんに誘われ約十年前に、最も若い同人として『青芽』に入会した。詩を書き始めたのは二十歳代から。「私の場合、詩は『苦しいから書く』という以外にない」と語る。

 柴田さんの『青芽』入会は昨年。日は浅いが、詩は二十歳の頃から書いている。旭川大学で、安部公房や三浦綾子の研究者として知られる高野斗志美学長(故人)に出会ったのがきっかけだった。高野ゼミで詩作を重ね、これまで十冊の詩集を出版。『黒本』は今年の道新文学賞の候補作になった。

 『FRAGILE』の創刊を記念し、創刊号に寄稿した四人が自作の詩を朗読する朗読会が十二月二日(土)午後六時から、まちなかぶんか小屋(七条買物公園)で開かれる。入場料は五百円。参加者に創刊号を無料配付する。

 今後、紙媒体ばかりでなく、インターネットやSNS、動画表現(ユーチューブなど)などを活用し、自作の詩を発信していくという。

 現在、同人を募集している。問い合わせは、柴田さん(TEL090―3396―6685)へ。