文科省を辞めた後 自主夜間中学でボランティア

 「モリ・カケ」問題でウソで固めた強弁を弄する安倍晋三首相に対し、理路整然とした語り口で、事実関係の誤謬を指摘する前文科省事務次官・前川喜平さんの生き方に対する姿勢が、多くの人の共感を呼んでいる。

 その前川さんの講演会が二月二十八日(水)午後二時から、市民文化会館(七ノ九)小ホールで開かれる。「旭川に公立中学校をつくる会」(中島啓幸代表)の主催。

 文科省を辞めた後、福島市と厚木市(神奈川県)の「自主夜間中学」で高齢者に学習支援のボランティアをしている前川さんが、「いじめのない学校~夜間中学と日本教育の未来~」と題して話す。

 参加費は五百円。定員は先着順で三百人。

夜間中学教諭・見城さんに 前川さんの講演を依頼

 前川さんを招いた中島代表(48)に話を聞いた。

 二十五年前、大学を卒業して間もなくの頃に制作された映画『学校』(山田洋次監督)で、中島さんは初めて夜間中学校の存在を知った。映画に感動し、主人公のモデルだった夜間中学校教諭の見城慶和(けんじょう・よしかず)さんに手紙を書き、交流が始まった。中島さんは、見城さんから夜間中学について様々なことを学んだ。

 見城さんの生き方に刺激された中島さんは、「旭川にも公立夜間中学を」という思いを強くし、作家・三浦綾子の旧宅を復元した塩狩峠記念館(和寒町)で、夜間中学をテーマに見城さんの講演を行った。その時、見城さんが若い頃から夜間中学に関心があった前川さんと親交があることを知った。

 後日、見城さんを通して前川さんに講演を依頼したが、その時、前川さんはモリ・カケ問題で渦中の人。文科省を辞め、昨年十一月に札幌で夜間中学・遠友塾が主催する講演会で、初めて面会。見城さんの力添えがあり、旭川での講演会が実現したという。
 クリスチャンで、『塩狩峠』のモデルとなった長野政雄を敬愛する中島さんには『塩狩峠・愛と死の記録』(いのちのことば社・二〇〇七年)という著書がある。中島さんは「自らの命を投げ出し暴走する列車を止めた長野さんと同じように、時の権力者に敢然と立ち向かう前川さんは本当に勇気のある人。講演日は長野さんの命日の二月二十八日と決めていました」と話している。

 問い合わせは中島さん(TEL090―6219―0091)へ。