「小熊秀雄を『しゃべり捲れ』講座」が十七日(土)夜、ときわ市民ホールで開かれた。旭川ゆかりの詩人、小熊秀雄(一九〇一―一九四〇)の作品や人となりをもっと市民に知ってもらおうと、小熊秀雄賞市民実行委員会(橋爪弘敬会長)が定期的に企画している。

三十回目の講師は、道教育大学旭川校の村田裕和・准教授。「『馬』とソビエト・ロシアをめぐって」と題して話した。

一九七五年(昭和五十年)生まれ。著書に大杉栄やその仲間たちと文学者との交流を研究した「近代思想社と大正期ナショナリズムの時代」(二〇一一)がある。最近は、一九三〇年代のアナーキズム詩人たちに注目し、小熊秀雄も参加したプロレタリア文化運動に関する当時の生資料約四千点をDVDに収録して出版するプロジェクトに関わっている。

村田さんは、市民実行委員会が編集・発行した『小熊秀雄詩撰・星の光のように』(二〇〇七年刊)をテキストに、小熊の詩に繰り返し使われる「馬」という言葉から、小熊が生きた時代や小熊の生き方、考え方をイメージしようと試みた。

小熊の詩の一編、『マヤコオフスキーの舌にかわって』について、「ロシア革命を支持するマヤコフスキーは自殺している。マヤコフスキーが歌う馬と、自らの馬とを通してイメージのやり取りをしている。詩人としての自己解放と革命が同一の方向を目指す、短い幸福な時間を象徴する詩ではなかったか。そうした幸福な時間が次第に、困難な状況になっていった」と、『蹄鉄屋の歌』『馬車の出発の歌』などの詩を引用しながら、小熊が表現する『馬』について、集まった三十人とともに考えた。