ドラッグ業界の最大手のツルハ(本社・札幌)が昨年十一月下旬、三浦綾子記念文学館の分館建設に使用して欲しいと、企業版ふるさと納税として二千万円の寄付を申し出ていた。旭川市は九日、来庁したツルハの鶴羽樹(たつる)会長と鶴羽順(じゅん)社長に感謝状を贈った。

三浦綾子記念文学館は今年、開館二十周年を迎えた。文学館を運営する三浦綾子記念文化財団(石川千賀男理事長)は、記念事業として分館を建設し、三浦綾子、光世夫妻の書斎を移設、復元する計画だ。

鶴羽樹会長は「昭和四年、旭川市内の四条九丁目で私の父と母が九坪の小さな店を出したのが、わが社の始まりです。現在、全国に約千九百店舗を出店していますが、営業拡大の基盤を築くことができたのも、『ツルハさん』と呼んでいただいた旭川市民の皆様のお陰と感謝しています。三浦綾子さんは生涯を旭川で過ごし、多くの優れた作品を残されました。分館を建て、書斎を移設するという計画に、私どもも参加させていただくことにしました。ここを訪れる人々が感動と生きる勇気を得ることができるものと思っています」と笑顔で挨拶した。

西川市長は「旭川発祥の、全国を代表する企業のツルハさんから、三浦文学館に多くの人たちが足を運んでくださるようにと、第一号の企業版ふるさと納税という、大きなお力添えをいただきました」と感謝の言葉を述べた。

移設される書斎は、夫妻が口述筆記という二人三脚のスタイルで数々の名作を生み出した部屋として知られる。分館は今秋にオープンする予定だという。市は今年度予算に、ツルハからの寄付申し出の意向に沿い、分館建設の補助金として二千二百万円を計上している。