「あなたの夢を富士山へ届けます」のノボリを立てたリヤカーを引いて、十三日朝、中山香さん(52)ら三人が富士山に向けて旭川を出発した。旧暦の七夕にあたる八月十七日、富士山頂に到着する予定だ。

 中山さんと一緒に歩くのは、この日のために昨冬、愛知県春日井市から旭川に移住してきた稲垣冬馬さん(33)と滋賀県栗東市に住む田中絵理さん(46)の二人。

 三人は、たくさんの人たちに書いてもらった「夢ハンカチ」を富士山頂に届ける「富士夢祭り」を提唱した内山大志さんの活動を通して知り合った。中山さんは一昨年に旭川から、昨年は沖縄から、富士山を形取った神輿を載せたリヤカーを引いて、旅の途中で書いてもらった夢ハンカチ約千枚を山頂まで運び、夢の実現を祈願した。今年も中山さんが神輿を載せたリヤカーを引き、旭川から富士山頂を目指すことを知った二人が行動を共にすることにしたという。

 計画では、途中はフェリーを使うなどして本州に渡り、日本海側を歩いて山梨県に入る。宿泊地などは特に決めていない。所持金はわずかだが、これまでも旅の途中で知り合った人や、フェイスブックに「こんなことをやりながら、富士山を目指しています」と告知すると「ウチに泊まりなさい」という人が次々に現れたといい、三人は「さほど心配していない」。

 中山さんは「たくさんの人の平和と夢の実現を願い、皆が笑顔になれたらという思いを込めて歩きます」。稲垣さんは「富士夢祭りは若い頃から取り組んでおり、私の友人のようなもの」。田中さんは「色んな人たちとの出合いや表情豊かな景色は、歩くことでしか得られないこと」と話す。

 神居古潭の夢殿観音像前で出発の準備を整えた午前九時ごろ、三人は観音像に「旅の安全」を祈願。知人ら三人に見送られ意気揚々と出発した。一日目の宿泊地は、滝川市江部乙町だという。