第四十二回全国高校総合文化祭「信州総文祭」弁論部門(八月八、九日・長野県東御市)に出場した、旭川東高三年生の高羽素直さん(18)が第三位となり、優秀賞を受賞した。上川支部から出場した弁士では、過去最高の成績だ。

 全国大会には各都道府県の予選を通過した七十一人が出場。七分間の持ち時間で熱弁をふるった。

 高羽さんは昨年十月の北海道大会で最優秀賞に輝き、今年の全国大会に出場した。演題は「ギフト」。父親が脳外科医で患者の命を救う立場、姉が葬儀プランナーで亡くなった人たちを送り出す立場という家庭環境もあって、それぞれから話を聞き、死に向き合って「聴衆全員に心の救いになるような原稿を書きました」と話す。

 高校二年生の六月から、本を読んで調べたり、不慮の事故で娘さんを亡くした家族を取材し、原稿を仕上げるために、時には朝の四時ごろまで頑張ったこともあった。昨年十月の全道大会の前にようやく原稿が仕上がった。

 冒頭「今日もまた、線路に飛び込んで亡くなったご遺体だった…」と、衝撃的な語りで始まり、生かしたい一心で治療する父親の姿、遺体を整え、棺に納めて、ねぎらいの心で送り出す姉。目を背けたくなるような辛い別れも、“ギフト”として受け取るしかない。それは突き返すことも、誰かに押し付けることもできない“おくりもの”だから。

 「これから先、一人、また一人と生涯を遂げていく私の大切な人々。どんなに辛くとも、私は彼らの死を両手で受け止めます。それは決して楽ではなかったであろう、彼らの人生を『良し』とすることだから。そして何より、これからを生きる私達への“ギフト”だからです」と締めくくった。

 高羽さんは「目指すのは一番でしたが三番という結果に終わりました。ただ、持っている以上の力を出せました」と満足のいく弁論ができた喜びをかみ締めている。

 小学一年生から、旭川ジュニアアルペンチームでスキーを始め、附属旭川中ではスキーに明け暮れた。高校では弁論部に入部。勉強と部活動の両立は大変だったが、スキーで鍛えた体と心が三年間を支えた。

 高校卒業後は、小学生の頃から夢だった獣医を目指す。「部活は厳しかったですが、一生の財産です」と高羽さん。新たなステージに向かって、今は猛勉強の日々だ。