作家・三浦綾子の自伝的小説『道ありき』で、綾子が恋人の前川正と一緒に歩いた春光台へと通じる坂道のクマザサ刈りと倒木を取り除く作業が三日、旭川市公園緑地協会(長谷川明彦理事長)の手で行われた。

 この坂道は、祖父が春光台の開拓に入り、郷土の歴史に詳しい小原陽一さん(66)が根気強い調査の結果、今年五月、「ここに間違いない」と特定し、見学会も行われた。道は、密集するクマザサに覆われ、数カ所に倒木もあって、人が通ることは難しい状態だった。

 道を特定するきっかけを作った「春光台『文学の小径』友の会」会長の芦田孝さん(76)と小原さんらが、同協会に「人が歩けるように」と要請し、坂道のクマザサ刈りが実現した。

 作業は同協会の職員ら四人が、草刈り機とチェンソーを使って一日がかりで行った。作業にあたった相場慎也さん(37)は「クマザサは根をしっかり張り、茎が固いので刈るのに大変苦労した。倒木も数カ所あり、チェンソーで処理した。倒れそうな木もあったので、その措置もしたため、意外に時間がかかった」と話した。

 五日、小原さんと芦田さん、三浦綾子記念文学館で「案内人」を務める人など四人が、クマザサが刈り取られた坂道をたどる〝試験通行〟を行った。
 小原さんは「とてもきれいにクマザサが刈り取られ、倒木も処理されて、本当に有難い。小学生の頃、高台分校から北鎮小学校まで給食のパンを取りに、この坂道を通りました。当時の雰囲気を思い出しました」と笑顔で話した。

 今後、小原さんらは、春光台公民館で地元の人たちを対象に「『道ありき』の坂道の説明会」を開いたり、三浦文学ファンらと坂道をたどる集いを企画したいとしている。