市は本年度の「旭川市文化賞」の受賞者を発表した。最高賞の文化賞は、江差追分会正師匠の佐々木洋子さん(81)に。文化功労賞は、筝曲教授大師範の波岸順子さん(84)に、文化奨励賞は、ネイルアーティストの出井朋佳さん(38)にそれぞれ贈られる。

 文化賞は、市の文化の発展に大きく貢献した個人または団体に贈られる。

 佐々木さんは、日本の伝統芸能・民謡、中でも「江差追分」に四十年以上打ち込み、全国大会で優勝するなど、数多くの大会で優秀な成績を収めてきた。また、市内の小中学校で江差追分のほか、三味線や尺八などの和楽器を指導するなど社会貢献活動を行っており、これらの功績が評価された。

 佐々木さんは「江差追分は“日本の文化”だと感じており、それを学生に伝えたいと考え指導しています。授業のアンケートで、『江差追分から日本が感じられる』という回答があり、とても嬉しい気持ちになりました。学生のみなさんに、日本の伝統文化を受け継いでいってもらえたら」と受賞を喜んだ。

 文化功労賞は、二十年以上の活動実績があり、表彰に値する事績を残したと認められる個人または団体に贈られる。

 波岸さんはこれまで六十年以上指導を続ける筝曲のほか、邦楽や能楽、長唄、アイヌ古楽など、多様な古典芸能の振興に尽力してきた。上川神社に本格的な能舞台ができた翌年の一九九六年には、「古典芸能を親しむ会」を立ち上げ、市民に薪能を鑑賞する機会を提供するなど、芸術・文化の発展にも貢献した。

 波岸さんは「古典芸能には様々なジャンルがありますが、どれもが日本の素晴らしい伝統文化です。これらを若い世代に伝えていくため、元気でいる間は少しずつでも普及に努めたいと思っています。立派な賞をいただき、ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。

 文化奨励賞は、市の文化の発展に貢献し、今後の活動が期待される個人または団体に贈られる。

 出井さんは、国内外のネイルアートコンテストで数多くの優勝を収めているほか、市内の理容美容専門学校でもネイルの講師として指導。学生技術大会の道地区で上位入賞者を多数輩出するなど、後進の育成にも尽力している。

 出井さんは「これまで受賞されているのが、歴史が長く伝統的なジャンルの方ばかりなので、ネイルアートが文化として認められたことに驚いており、とても嬉しい。技術者としても、人としても成長させていただいたお客様をはじめ、周りのみなさんのおかげです」と笑顔で話した。

 贈呈式は十一月三日(火・祝)午前十一時から、大雪クリスタルホールで行われ、賞状と賞金(文化賞/十万円、功労賞・奨励賞/各五万円)が贈られる。