全旭川短歌大会が十月二十五日、ときわ市民ホールで開かれた。旭川歌人クラブ(西勝洋一会長)と旭川文化団体協議会の主催。あさひかわ新聞などの後援。

 年に一度、同クラブの会員が集い、互いの投票で優れた作品を選ぶ歌会は、五十六回目になる。

 四十六人(当日出席は三十六人)が参加。全員が選者となって、作者を伏せた四十六首の中から、一人五首を選んで投票し、獲得票の多い短歌に賞を贈る。

 投票の結果、最高賞の旭川市長賞には、柊明日香(ひいらぎ・あすか)さん(65)の歌「百歳になりてにわかに日々重しとひとり住みいる父の言いたり」が選ばれた。

 柊さんは「札幌にいた時代に万葉集の講座を受講して、それがきっかけで短歌を始めました。西勝先生のもとで学んで十七、八年になるでしょうか。この歌は、『百歳のお祝いをしてもらったら歳をとった気がする』と言った父の言葉をそのまま表現したいと思ったんです。これからも、日々の思いや身の周りのことを詠み続けたいと思います」と笑顔で話した。

 あさひかわ新聞賞には、井上敬子さんの「眼鏡かけ吾の丹前を縫ひくれし母を偲びて毎夜着て寝る」が選ばれた。

 受賞者には、賞状と盾が贈られた。そのほかの受賞者と受賞作は次の通り(敬称略)。

 ▽旭川市教育長賞 鎌田章子「うちの社は危ふいかもとこぼす子に手作り惣菜まとめて持たす」▽旭川文化団体協議会会長賞 瀬川美年子「施設にて逝きたる友の荒れし庭返り咲く花ひとつかあらむ」▽旭川歌人クラブ会長賞 近藤美和子「連綿と黒人差別の平生に大坂なおみ穿つ一条」▽北海道新聞社賞 サトウキミコ「あめ雲の去りし束の間澄む月をふたつに切りて最終便ゆく」▽NHK旭川放送局長賞 清水紀久子「夢なんてあったか如何かも忘れたが来る春のため球根植える」▽旭川歌人クラブ奨励賞 渡辺紀美子「刈草の匂い漂う夏の野にころげ遊びし幼な日還る」▽旭川歌人クラブ優秀賞 柳澤美晴「おほつぶのなみだこぼれてわがかほを左右に分けたりけふ憂国忌」▽同 瓢子朝子「平均寿命越えし命は余剰とも日日の怠慢自ら許す」▽旭川歌人クラブ佳作賞 伊東ミツ「台風も豪雨も逸(そ)れる土地に住みはるか大雪山(たいせつ)に守られて来(き)し」▽同 久守茂子「歳月の流れに添い来て交々の想ひ重なるわが誕生日」