新酒の仕込みが始まり、年末年始に向けて酒蔵が慌ただしくなる季節。髙砂酒造(宮下十七)では、毎年恒例の菰樽(こもだる)づくりが最盛期を迎えている

 菰樽は輸送の時に酒樽の破損を防ぐ目的でマコモやワラを編み込んだ“菰”を巻きつけたのが始まりと言われる。近年では新たな出発や区切りに際し、健康や幸福を祈願して「鏡開き」として使われ、年末年始の注文が一番多い。

 樽は四斗、二斗、一斗の三種類。作業は、秋田県から仕入れた杉樽に熱湯を入れて一晩寝かせ、樽の渋抜きをする。翌日に水洗い、樽を化粧菰で巻き、わら縄で締め日本酒を入れて完成だ。

 作るのは菰樽作り二年目の伊藤睦成さん(52)と、今年から担当になった吉岡圭太さん(38)の二人。

 この日は四斗樽を化粧菰で巻き、わら縄で菰樽を締める仕上げの作業が行われた。一つひとつの工程を丁寧な作業で仕上げた伊藤さんは、「昨年に比べてスピードも速くなったし、綺麗に作れるようになりました。今日は皆さんの前で緊張してしまったので七十点の出来です」と緊張した面持ちで話した。

 作業は年末まで行われ、市内を中心に全道に出荷される。   (工藤森)