第四十二回中原悌二郎賞に西野康造さん(70)の作品「Walking in the Sky」が選ばれた。

 同賞は、旭川ゆかりの彫刻家・中原悌二郎にちなみ、旭川市が一九七〇年に創設。二〇〇三年からは、二年に一度のビエンナーレ形式になった。

 今回は一九年四月一日から二一年三月三十一日までの二年間に国内で発表された、日本人作家の彫刻と立体作品が対象。三百三十四人の作家の作品が候補となった。オンラインで行われた選考委員会の結果、西野さんの作品が「現代文明・文化の不安と危機の意識を抱え込んだ作品でありながら、宇宙的な世界へと誘導される、ある種の喜びにもつながる一面が暗示的に示されている」と評価され、受賞が決まった。

 チタン合金の線材をトラス状に継ぎ合わせて弧を描いた、長さ十㍍と八㍍の二つの立体作品が一組になった作品。作者が「たなびく雲や霧、空気をイメージした」という作品は、弧が先に向かうにつれて細くなり空間に吸い込まれるような形状で、可動式の継ぎ目により、人がそばを通るほどのかすかな空気の動きで上下に揺れる仕掛けになっている。

 表面は電圧の量で色を変化させる電解着色の手法で、根元から先端にかけて紫色から黄色の多彩なグラデーションをつくりだしている。

 二月十九日(土)に大雪クリスタルホール(市内神楽三ノ七)で行われる贈呈式では、西野さんの記念講演も予定されている。また、市は受賞作品を購入して、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館(春光五ノ七)に収蔵している。今回は、受賞作の一部である長さ八㍍の作品を代替作品として購入し、同日から同館で展示される。(東寛樹)