冬季休館中(四月まで)の西川徹郎文學館(七条緑道)が八日まで、「春の特別開館」を行っている。

みどころは、同館の所蔵する木田金次郎(1893~1962)の水彩画「岩内港」。木田は有島武郎の「生まれ出ずる悩み」のモデルとなった画家として知られる。

この絵は〇七年五月、文學館の開館に際し、西川氏の叔父・神埜努(かんのつとめ)氏が寄贈した。神埜氏は北大文学部の卒論テーマに有島武郎論を選んだことから木田との交流が生まれ、木田は後に親交の明かしとして神埜氏にこの絵を贈ったという。

「岩内港」が描くのは、春風の吹く港だろうか。木々にまだ新緑はないが、青い空とそれを映す水面、漁船や旗の鮮やかな色彩が、見るものに春の訪れを感じさせ、時間を掛けて眺めるほどに、絵画の中へと引き込む。雪解けを待ちわびるこの時季の鑑賞にふさわしい作品だ。

午前十一時~午後五時。入館料五百円。問い合わせは同文學館(TEL25―8700)へ。