「となりのヒグマ~森と里の安全対策」をテーマにした講演会が十五日、東川町せんとぴゅあⅠ(北町一ノ一)講堂で行われた。大雪山アーカイブの主催。

 講師は、NPO法人もりねっと代表理事でヒグマの会副会長の山本牧さん。山本さんは一九五五年、福井市生まれ。北海道大学に入学後、ヒグマ研究グループに入会。八一年、同大大学院中退後、北海道新聞入社。二〇一〇年に退職し、もりねっと北海道理事に。著書に『知床からの出発』など。

 山本さんは「ヒグマは生きるため、子孫を残すため食べ物を求めて人里に現れるのであり、決して人に危害を加えるためではない。少子高齢化で人とヒグマの緩衝地帯だった農地が少なくなったことや、ヒグマの命を脅かす音だった銃声が、今ではシカを撃つ音に変わり、銃声や火薬の臭いはシカ肉にありつけるものに変わってしまった。ヒグマが経験則から、人を恐れなくなったことが、出没の要因に大きく影響している。生態をよく知り、付き合っていくことが重要」と語った。

 また「捕獲によりヒグマの数が減っている時でも、デントコーン畑の被害は年々増加している。ヒグマの数とデントコーン被害が比例していないのは、単にヒグマの数を減らせばいいということではない」と指摘。

 「農作物の収穫期以外でも、ヒグマを電気柵などで畑に入れさせないことが肝要。作物の味を覚えたクマは、翌年また必ずやって来る。地域の防災として取り組む必要がある。ヒグマは手あたり次第、人を襲う動物ではないが、もしヒグマと遭遇した時は、逃げない、大声を出さない、走らないこと。クマと遭遇しないよう、鈴など音を出すことや複数人で行動することです」とアドバイスした。(佐久間和久)