劇団前進座の特別公演『雨あがる』が十九日(水)午後二時から、市民文化会館(七ノ九)大ホールで行われる。国内十カ所をまわる全国巡演の一環で、同劇団と北海道新聞社の共催。
前進座は一九三一年、若い歌舞伎俳優を中心に創立。激動の時代の中、圧倒的なエネルギーで多くのレパートリーをつくりあげてきた。歌舞伎だけでなく、歴史劇、時代劇、児童向けの芝居など多彩な舞台を、大都市のホールから小中学校の体育館までを会場に行っている。
『雨あがる』は、小説家・山本周五郎が一九五一年に発表した短編小説で、七〇年、同劇団が舞台化。九九年には、黒澤明監督の遺稿となった脚本を「黒澤組」のスタッフが映画化してヒットした。
物語の舞台は、とある街道筋の宿屋。近くの川が長雨で川止めとなり、何日も旅立てていない客の中に、三沢伊兵衛と、妻・たよがいた。伊兵衛は浪人の身で、剣の腕は立つが仕官の先が見つからない。
イライラと貧しさから、客たちがもめごとを起こす中、伊兵衛は、妻に禁じられている道場破り(賭け試合)で得た金で宿のみんなに酒と料理をふるまう。一時の贅沢に憂さが晴れ、それぞれの事情を理解した客たちはわだかまりを解いてゆく。
伊兵衛の剣法は、争いを避け、謝りながら相手に対しているうちに勝っているというもの。それに感服した若侍の紹介で、仕官の道が開けるが――。
三沢伊兵衛を演じる早瀬栄之丞さんは「今回のストーリーには、周五郎の短編『おしゃべり物語』のエピソードを盛り込んでいるため、小説や映画を見たことがある人でも楽しめます。周五郎作品はどれも弱者の目線に立っていて、登場人物それぞれの生きざまが描かれているので、一人ひとりの人間ドラマを見てほしい。そして、見終わった後に『人間っていいな』と思ってもらえたら」と語る。
午後一時半開場。全席指定で、料金はS席が六千五百円、A席が五千円。市民文化会館売店や道新プレイガイド(TEL 0570―00―3871)で購入できる。
また同公演は、二十一日(金)午後一時から、札幌市教育文化会館(中央区北一西十三)大ホールでも行われる。
午後零時半開場。全席指定で料金は同じ。
問い合わせは、前進座全国公演事務所(TEL 0422―49―2633 平日午前十時~午後六時)へ。(東寛樹)





