画像 日本製紙(中村雅知社長)は二十八日、同社の百%出資の子会社、旭川グランドホテル(佐藤行信社長)の全株式を、不動産投資などを手掛ける大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツ(IP)に譲渡すると発表した。

 営業は現状のまま継続し、従業員約二百五十人(正規百十人、パート百四十人)の雇用も変わりない。九月末までに全株式を正式に譲渡する予定という。

 大和証券SMBC・IPは、道内では〇五年に札幌のグランドホテルとパークホテルを運営するグランビスタホテル&リゾート(旧三井観光開発、東京)を傘下に収めている。

 会見した日本製紙の大林保仁関連企業部長は、旭川グランドホテルの現状を、「年商約三十億円で、宿泊、レストラン、宴会でそれぞれ三分の一。数億円の経常利益が出ている」と説明。客室稼動率については、旭山動物園人気で、夏場はぼ百%、冬場でも七〇%に達するという。

 それでも売却することを決めたのは「さらに上を目指すには、単館では限界がある」とし「強いところと組むことで、新たな設備投資も期待できる」と説明。

 また、「製紙会社がホテルを持っていても限界があり、今後は本業の紙事業に集中する」とも話した。

 同社では、今年四月に非公開での入札方式で売却先を募った。これに応じた複数の企業のうち、買収額や雇用などの面で、最も好条件を示したIPに売却が決まった。

 旭川グランドホテルは一九九四年に開業。〇四年に関連のニュー北海ホテルが閉館している。今回の売却により、日本製紙はホテル事業から完全に撤退することになる。