画像 絵本作家の荒井良二さんのオハナシ会が十六日夜、市民文化会館大会議室で開かれた。荒井さんが目の前で絵を描き、朗読が聞けるということで二百人を超えるファンが詰めかけて、立ち見が出るほど。

 登場した荒井さんは「筆を使っている場合ではありません」と一言。観客の前で真っ白い大きなキャンバスに直接アクリル絵の具をのせ、手のひらを使って、数分のうちに黄色と赤の鮮やかな色彩で山や橋、太陽などを描いた。

 さらに、その上に絵の具をのせ、新しい風景を描き出すという作業をすること一時間。次から次と変化する絵は、動きがあり、まるで映像を見ているような不思議な世界に。

 ライブペインティングの後、本人のギター演奏付きで最新作「たいようオルガン」を朗読した。

 朗読の後「太陽は、曇っていても昇っていると知っているでしょ、そこに太陽があるな、と」、「太陽は、お母さんかもしれない、お父さんかもしれない、ブドウかもしれない、夏みかんかもしれない。ようはいつもそこにあって、なくてはいけないもの、それを描きたかったんですよ」と太陽をテーマにした着想を語った。

 「人は一人では生きられません」と締めくくり、サイン会が始まると、あっという間に、本を抱えた幼稚園児、大学生、お母さんの長蛇の列が出来た。

 普段、絵本からしか伝わらない作者の思いや人柄が生で感じられ、サインを貰った一人ひとりの表情からはその満足度が伝わって来た。