画像 市教育委員会は十六日、本年度の市文化賞を発表した。本賞の文化賞には、箏曲の河野美世勢さん(86)=三ノ十二=、文化功労賞には短歌の松田一夫さん(95)=旭町二ノ一=、文化奨励賞には七宝作家の大久保友記乃さん(18)=台場東三=が選ばれた。

 河野さんは旭川市出身で、六歳の時、琴の山田流松美会の山本喜美勢師に入門。十五歳で上京して芸道を磨き、十九歳で芸名免許を受け、旭川で独立した。毎年優れた演奏会を続ける傍ら、一九八二年(昭和五十七年)には旭川市の姉妹都市、米国のブルーミントン・ノーマル市への邦楽文化使節団代表として参加するなど国際親善にも貢献してきた。河野さんは「和を持って自分の道を歩んできた。この歳になっても非常にうれしく思っている」と述べた。

 松田さんは留萌市出身。二十一歳の時、肋膜炎を患い、南富良野町で療養していたときに友人から短歌を勧められた。一九五三年(昭和二十八年)には、コスモス短歌会の創立に参画し、歌誌「コスモス」に作品を発表。六六年からは同短歌会の旭川支部長として後進を指導。九〇年に文化奨励賞を受賞している。松田さんは「長く続けたことが私の取り柄。これからも時代の流れを批判する姿勢を持ち続けたい」と述べた。

 大久保さんは旭川市出身。幼児期、自閉症の診断を受け、市内の特殊学級に通学。小学校五年生の時、宿泊研修で七宝焼に出会ったのがきっかけになり創作活動を始め、和紙染、絵画へと創作の幅を広げている。昨年は絵の具などを削って作画するスクラッチという手法で描いた作品をモントリオール国際芸術祭に出品し、世界芸術賞を受賞。独特の色遣いと自由な表現力が高い評価を受けている。大久保さんは「今まで色々な人に助けてもらって来ましたが、これからは私も誰かを助けてあげられるようになりたいと思います。私は自閉症という障害があっても、頑張れば出来るということがわかってもらってうれしい」と話した。

 市文化賞の贈呈式は、十一月三日の文化の日、大雪クリスタルホール国際会議場で、午前十一時から行われる。