画像 アイヌ記念館の創設者、川村カ子トさん(一八九三―一九七七)が若いころ、中部地方の鉄道建設に貢献した功績を讃える合唱劇「カネト」が七月二十日、旭川市民文化会館で公演される。五日、合唱団の結団式と初練習が、JR北海道旭川支社会議室(宮下通六)で行われた。

 川村さんは一九〇九年(明治四十二年)、当時の鉄道省測量技師として、現在のJR飯田線(愛知県豊橋市―長野県辰野町)の未開通区間で測量を行い、その後は現場監督も務めた。

 川村さんの功績を讃えようと、愛知県日進市在住の音楽家・藤村記一郎さんが児童書「カネト」(沢田猛・著)をもとに合唱劇「カネト」を作曲。昨年までに名古屋市、豊橋市や沿線の長野県飯田市などで公演され、好評を博した。そして、川村さん生誕百十五年の今年、故郷・旭川での公演が実現する。

 旭川公演には合唱隊や俳優ら約百七十人が訪れる予定で、旭川公演実行委員会(森田茂紀委員長)は、遠来のメンバーに負けないようにと、百人を目標に合唱メンバーの確保に努めている。

 結団式では愛知県の公演に参加したメンバーのビデオレターが紹介され、参加者は「カネトさんの出身地の旭川で皆さんと歌うのを楽しみにしています」というメンバーの声や練習風景に見入っていた。

 続いて初練習が行われ、子どもから大人まで約二十人の参加者が、藤村さんの指導で幼年期のカネトを描いた「少年」と、走る蒸気機関車をイメージした「どこまでも―おか蒸気」の二曲を練習。歌詞に込められた川村さんの生きざまを感じ取っていた。

 藤村さんは「子どもたちも意欲的で、勇気づけられた思いがしました。これからも練習に顔を出して、この劇の素晴らしさを訴え、たくさんの方に劇に参加してほしいです」と話していた。

 「カネト」旭川公演の問い合わせは事務局の川村カ子トアイヌ記念館(電話51―2461)へ。