img車椅子のピアニスト・山崎理恵さんのコンサートが二月二十七日、上川支庁(永山六ノ十九)の大雪カムイミンタラホールで開かれた。会場には約三百人が詰め掛け、椅子席が満席となり、立ち見も出るほどの聴衆で埋まった。

山崎さんは旭川市出身。桐朋学園大音楽部ピアノ専攻を卒業。数々のコンクールに入賞後、東京でソロリサイタルを開催し、郵船クルーズ「飛鳥」に乗船して演奏するなど、活発な演奏活動を続けていた。〇二年に膠原病の全身エステマートデスの再発と髄膜炎の併発により脊髄を損傷。その後は車椅子の生活となり、プロピアニストとしての道を断念せざるを得なくなった。

imgしかし、山崎さんの「ピアノのペダル操作さえできれば」という思いに市内の表鉄工所などが共感し、試行錯誤の末にピアノペダル・アシスト装置を開発。ペダルの操作を吐く息の強弱でおこなうもので、この装置を使って山崎さんは〇八年からプロピアニストとして活動を再開している。

この日は、なじみ深い、「ラデツキー行進曲」やワルツ「春の声」、エリーゼのためになど六曲を演奏した。一曲ごとに山崎さんが曲の背景等を紹介、初めての人でもわかりやすい演奏会となった。また、アシスト装置を使用するために健康管理に気をつけていることや、長いこと息を吹き続けなければならない時など「目まいがします」などとユーモアを交えた話で会場を和ませた。

最後はアンコールに応え、SMAPの「世界にひとつだけの花」を演奏。会場からは割れんばかりの拍手が送られていた。