img沖縄の染物である紅型(びんがた)を京風にして生まれた手染め「和染紅型」の創始者、栗山吉三郎の染色標本展が十九日から、三・八ギャラリー(三ノ八川瀬ビル地下)で開かれる。

栗山吉三郎(一九一八~一九八六)は京仏師の家に生まれた。幼少から古書画、彫刻、油絵、陶器に興味を持つ。写生で度々訪れた沖縄で紅型に出会い、四八年(昭和二十三年)には染色の創作活動を開始、「和染紅型」を生み出した。五三年(昭和二十八年)に栗山工房を開設し、染めの全工程を一貫して行う傍ら、約三十カ国に旅して染織の調査研究にあたった。没後は大箭秀次氏が二代目を襲名している。

展示する染色標本は、ギャラリーのオーナーである川瀬善孝さん(川瀬呉服店社長)の蒐集品。川瀬さんは全部で五十八点の標本を所有している。昭和四十年代から年に三点ほどを入手し、コレクションしてきた。呉服店にとっての貴重な勉強道具として大事に保管してきたが、その蓄積を染めに興味のある人たちに見てもらい、知識として活かしてもらおうと、この展示会を企画した。

標本展はこれまでに二回開催し、コレクションの半分ほどを公開してきた。今展では未公開の十七点ほどを展示する。ハマナスやツツジ、梅など、その植物から得られる染料の染色結果と、栗山氏自らが染め描いた植物の図案が一枚に収められている。併記された解説も読み応えがあり、草木染めをする人には興味深い内容だ。

入場無料。十九日から二十四日まで。正午~午後五時。問い合わせは川瀬ビル(TEL22―1116)へ。