旭山動物園の名誉園長、小菅正夫さん(61)が三月末で退任する。二十六日、市役所内の市政記者室で会見した。

 小菅さんは一九七三年(昭和四十八年)に旭山動物園に入り、九五年(平成七年)に園長に就任した。昨年三月末で定年退職したが、名誉園長を引き受けていた。

 会見での挨拶で小菅さんは「楽しい毎日を送らせてもらった。とても幸運だった」と旭山での三十七年間を振り返った。最も思い出深い出来事をたずねると、オオコノハズク、アムールヒョウ、エゾタヌキなどの繁殖成功を挙げた。

 「初めから動物園に勤めたかった訳ではなく、旭川に動物園があることも知らなかった」という。北大獣医学部の卒業間際、旭山動物園で獣医を募集しているのを偶然知ったことが人生を決めた。

 小菅さんは昨年ケニアを訪れ、実際に野生で暮らしている動物たちを見て衝撃を受けたという。「動物たちについて相当わかっている積もりだったが、まだまだ知らないことがたくさんあると気付かされた。これまで一方向からしか動物を見ていなかったのかも知れない。今後は三六〇度から見たい」と新たな思いを語った。

 旭山動物園との公的な関わりは無くなるが、「別に絶縁する訳ではない。これからはパスポートを買って見に行きますよ」と笑顔で語った。