市民実行委員会(松田忠男会長)が運営する第四十三回小熊秀雄賞の最終選考会が十日夜、旅館「扇松園」(高砂台三)で開かれ、小樽市在住の花崎皋平さんの長編物語詩集「アイヌモシリの風に吹かれて」(小樽詩話会事務所発行)を選んだ。

 今賞には、全国から七十八点の応募があった。選考委員は、辻井喬(詩人・作家)、 工藤正廣(詩人・北海道大学文学部名誉教授)、石本裕之(詩人・旭川工業高等専門学校教授)、藤井忠行(造形作家)の四氏。辻井氏は、出席できなかったため書面で意見を述べる形となった。

 二時間以上に及んだ選考会は「作者の表現者としての強度が揺るぎなく貫徹されており、小熊の切り開いた叙事詩の地平を引継ぐものとして、長い時間の評価に耐える作品」として花崎さんの詩集に賞を贈ることを決めた。

 花崎さんは、一九三一年(昭和六年)東京生まれ。七一年、北大助教授を自主退官。以後、執筆業、哲学者として活動している。

 受賞について花崎さんは、「日本の中で最も好きな詩人の一人が小熊です。特に好きなのが『飛ぶ橇』と『長長秋夜』などの長編詩です。小熊賞に選ばれたことは私にとって大きな喜びです。今後も所属している小樽詩話会に、できるだけ多くの作品を書き続けていこうと思っています」と話している。

 第四十三回小熊賞の贈呈式は、五月二十二日午後三時から、ターミナルホテル(JR旭川駅前)で開かれる。