前川幸一さん(60)の書道展がギャラリー喫茶香音(末広東一ノ三)で開かれている。

 前川さんは東明中学校の校長で、雅号は大煌。書道には道教育大旭川校の書道科で本格的に取り組み始めた。自身二度目となる今展は、自らの還暦を記念して開いた。

 前川さんは、漢字とかなが混じった「近代詩文」の表現方法を得意としている。大学時代、近代詩文を専門とする赤石蘭邦、平田鳥閑の二氏から指導を受けたのが契機だという。

 今展では俳句を始め、歌詞の一部を書いた。出品している十三点は今年に入ってからの作品。学校長としての職務のほか、旭川中学校校長会の副会長も務める前川さんの日々は多忙だが、「仕事に追われている時の方が、かえって集中できますね」とおだやかな笑顔で言う。

 前川さんの書には、洗練と剛健、上品さと素朴さが同居しており、懐の深さを感じさせる。展示作品のひとつ、高野素十の句「稲刈りの母目をつぶり乳をやる」の書を前にすると、胸に込み上げてくる何かを感じずにいられない。

 八月六日まで。午前十一時~午後五時(最終日午後三時まで)。問い合わせは香音(53―8932)へ。

写真は前川さんの書「囀りにぱちくりぱちくり梅の花」(句・伊丹三樹彦)