小熊秀雄を「しゃべり捲くれ」講座が三月二十八日、ときわ市民ホールで開かれた。現代詩の公募賞、小熊秀雄賞を運営する市民実行委員会が企画する連続講座。第十五回目の講師は、旭川高専教授の石本裕之さん。「小熊秀雄作品と小熊秀雄賞の一場面」と題して講演した。
石本さんは一九五八年(昭和三十三年)札幌市生まれ。北大文学部卒、同大学院文学研究科東洋哲学修士課程を修了。小熊秀雄賞選考委員、北海道文学館評議員などを務めている。
石本さんは高校時代に小熊の詩を読み、初めて小熊の存在を知った。中学・高校時代は剣道やバスケットボールなどスポーツに親しむ機会も多かったが、大学で哲学を学び、有島武郎が創設した「北大文芸部」に所属して評論や詩を書いていという。
小熊は詩や童話が良く知られているが、短歌もよんでいたことはあまり知られていない。石本さんは小熊の短歌を「決して上手いとは思わないが、かわいいと感じる」と表現した。
小熊の残した「ひとり死ぬるさびしさなどをおもひつつ 狭霧の丘にたちつくすなり」などの作品を例にあげ、小熊の人生観に触れた。
また、「自分はコレと決めていたとしても、委員の議論の中で鑑賞の目が開かれていく」「受賞作以外に大変心に残っている作品も多い」などと選考委員としての気持ちを語った。