劇団海流座の公演「二十二夜待ち」(木下順二作)と「父帰る」(菊池寛作)が十月二十三日(火)、旭川市民文化会館小ホールで行われる。現在、「二十二夜待ち」に村人として出演する旭川市民を募集している。

 海流座は〇七年(平成十九年)に旗揚げした劇団で、劇団民藝で活躍した俳優・演出家の米倉斉加年(78)が主宰している。北海道公演は今回が初めて。九月二十一日から十月三十一日まで、旭川や札幌だけでなく、利尻、猿払、豊富、中標津など人口の少ないまちを含む二十六市町村を回り、三十四ステージを行う。

 米倉は宇野重吉(一九一四―一九八八)を師としている。この巡演は、地方公演を重視した宇野の遺志を受け継いだものと言える。興行としての採算が取れない町村もあるが、都市部の収益でその穴を埋めつつ、広く芝居を観る機会を提供する。

 今回上演する「父帰る」は、米倉が初舞台を踏んだ作品でもある。旭川公演をサポートする「観る会」の事務局を務める渡辺祐二さん(70)は、「誰もが知っている戯曲ですが、舞台を観たことのある人は意外に少ない。米倉の原点でもあり、家族ぐるみで観られる芝居」と話す。

 もう一つの「二十二夜待ち」は、ある村の宴に闖入した“ならずもの”が、祖母孝行の若い村人藤六とのやりとりを通じて、家族愛を思い出す様を描く。

 今回、巡演する各地で村人役を募集する。旭川では十人ほどの参加を募っている。村人は、約四十分の上演時間のうち、前半の十八分間にわたって出演する。若干のセリフもある。渡辺さんは「場面が昔の酒の席ですので、男性を中心とした大人に応募していただきたい。年齢は問いません」としている。

 予定では、九月十二日(水)に劇団の俳優による事前指導を受け、その後三回程度の稽古を経て本番に臨む。当日は午前に米倉から演出を受け、リハーサルを行う。渡辺さんは「米倉から演出が受けられる機会はそうありません。興味のある方はぜひ」と応募を呼びかけている。

 平日でも時間が取れ、出演してみたいという人は、十八日(土)までに渡辺さん(TEL66―2696)、または旭川市民劇場の有村さん(TEL23―1655)へ。

 旭川公演は①午後一時半②六時半の二回上演する。観劇料は前売り三千円(当日三千五百円)、高校生以下は前売り千円(同千五百円)。チケットは市民文化会館と大雪クリスタルホールの売店、旭川市民劇場、旭川青年大学、旭川子ども劇場、こども冨貴堂、観る会事務局で取り扱っている。