「江丹別の青いチーズ」で知られる伊勢ファーム(伊勢寿寛さん経営、江丹別町拓北二一四)に、土でつくる「アースバッグハウス」の本体部分が完成した。内装や設備はこれからだが、三つの屋根が尖塔のように空にそびえる光景は、おとぎ話の世界に迷い込んだような不思議な気持ちにさせてくれる。

 アースバッグ建築は土嚢(どのう)をドーム状に積んで建てる工法で、米・カリフォルニアに一九九一年設立されたカル・アース研究所で研究・製作が進められている。どこでも簡単な技術で建てることが可能で、耐震性や防火性が高く、その上安価という夢のような建物。今回のハウスが道内では初だ。

 八月初めから、同ファームの伊勢昇平さん(27)と数人のボランティア、アースバッグビルダーの吉田鉄平さん(37)の指導で製作が始まった。高さ六㍍、直径五メートルの居間と、それぞれ直径三㍍のトイレ・寝室の計三室で材料費は百六十万円ほど。

 施主の伊勢さんは「雨で作業できない日が多く大変なこともありましたが、完成してみて、改めて凄い建物ができたな、という印象です。これからはカフェや宿泊施設など利用の仕方をじっくり考えたいと思っています」と笑顔だ。

 外壁の漆喰塗りや設備などは来春の雪解けを待って工事に取り掛かる。完成は来秋の予定で、仲間たちとゆっくり楽しみながら製作するとのことだ。