旭山動物園内の農園で二十三日、高校生らが循環型の環境を学ぶプロジェクト「つながる輪『いのち』」の今年度の活動が始まった。
このプロジェクトは二〇一〇年(平成二十二年)、北海道コカ・コーラボトリング(佐々木康行社長、本社・札幌市)など民間企業が旭山動物園と協働でスタートした。園内に約三十平方㍍の畑を作り、収穫した野菜を動物のえさにして、糞から堆肥を作るという循環を通じて環境について学ぶ。旭実高、旭農高の生徒のほか、拓殖大北海道短大の学生がサポート役として参加している。

 この日、畑では主に旭実高の生徒たちが畝(うね)を切って野菜と果物の苗を植えた。今年度作るのは、メロン、スイカ、カボチャ、ナガネギ、キャベツ、落花生、サツマイモ、ニンジン、スイートコーン、ジャガイモ、ピーマン、トマト、ナス、イチゴなど。ナガネギはサルが好んで食べ、風邪をひきづらくなる効果が見られるという。

 畑の隣には十平方㍍ほどの水田があり、旭農高の生徒たちの手で田植えが行われた。昨年は十七㌔の玄米を収穫している。

 田畑での作業後、農園の水路にヘイケボタルの幼虫百匹を放流した。この水路は、ホタルが生育できる環境づくりを目指して一昨年から整備が進められて来た。昨年はホタルの幼虫のえさになるタニシを放流し、タニシが越冬できることを確認していた。
ホタルが順調に生育すれば、幼虫が今年六月から七月上旬にかけて水から上がり、七月下旬から八月上旬にかけて成虫になる見込みだ。

 旭山動物園では例年八月の夜間開園時に、ホタルの明滅が見られる「ほたるのこみち」を開催しているが、ホタルは他地域から持ち込んで行っている。旭山動物園の中田健裕副園長は、挨拶の中で「この水路で育ったホタルで、『ほたるのこみち』が出来るようになれば嬉しいですね」と期待を込めて話していた。