あさひかわ新聞で尊厳死のコラム「最期の在り方」を連載している柴田えみ子さんが十一日、有料老人ホーム花さとか(東光八ノ六)で講演した。

 尊厳死について知ることを通じ、職員のクオリティ・オブ・ライフ(人生の質)を向上させようと同施設が開いた。

 柴田さんは、亡くなる人の八割が病院で最期のときを迎えていて、多くの人に延命処置がされている現状を話した。その上で、「医師は延命処置が苦しく、無意味だと知っていますが、しなければ保護責任者遺棄致死罪に問われます」と説明。「医師との口約束はもちろん、直筆で書き残しても延命処置は避けられません。これでは医師に訴えられるリスクがあるからです」と話し、日本尊厳死協会に登録して「尊厳死の宣言書(リビング・ウイル)」で意思を示しておくなどの準備が必要であることを話した。

 講演の後半では、メンタル面の整え方についても話した。「コップの汚れた水にきれいな水を注ぎ続けると、いつかきれいな水になるように、『ありがとう』『楽しい』『ついている』『愛している』など良い言葉を使い続けると、いつか心がきれいになります。言葉の力で良い人生を送りましょう」と施設のスタッフたちに伝えた。

 同施設に勤務する小池由子さん(42)は「母ががんの手術を受けて一年が経ちました。母は『最期は自宅で』と希望しています。必要以上の医療行為をせずに、母の思いをかなえてあげたいと思いながら講演を聞きました」と感想を話していた。