「小熊秀雄を『しゃべり捲れ』講座」が二十七日夜、ときわ市民ホールで開かれた。

 旭川ゆかりの詩人小熊秀雄(一九〇一~一九四〇)の作品や人となりをもっと市民に知ってもらおうと、小熊秀雄賞を主催する市民実行委員会(橋爪弘敬会長)が企画する連続講座。あいにくの吹雪の中、二十一人が集まった。

 二十七回目の講師は、小樽美術館館長の新明英仁さん。道立近代美術館や道立旭川美術館、道立文学館などで学芸員を務め、『旭川の美術家たち』(旭川振興公社・二〇一五年)などの著書がある新明さんが、「小熊秀雄とその周辺の芸術家たち」と題して話した。

 主に小熊が東京で活動していた時代に交流があったり、池袋の泡盛屋「デイゴ」で酒を飲んだり、どこかで〝すれ違った〟だろうと推測される画家・秋田義一、詩人・金子光晴、詩人・山之口貘、歌人・斎藤史、画家・熊谷守一の五人の絵や歌、エッセイを学芸員の緻密な視点、独自の解析を交えて丁寧に解説した。

 新明さんは「小熊の周りにいた人たちは非党派、どこにも属さず、一人で活動した。小熊秀雄も一人ぽっちだった。こうした人たちの作品を知ることで、小熊の違った、面白い一面が浮かび上がるのではないか」と小熊研究の新たな視座を示して講演を終えた。