市が主催するシニア大学で八日、「所有者不明の土地問題」をテーマにした市民学び講座が開かれた。

 講師の司法書士・上村修一郎さんは「東日本大震災復興事業の高台移転が、所有者不明の土地があるために中々進まないことを契機に、この問題が広く取り上げられるようになりました。旭川でも空き家が建つ土地の所有者が不明なことがあり、問題となっています」と話し始めた。

 所有者不明の土地について、①問題を発生させてしまう側になる場合、②所有者が分からない土地があるため困ってしまう場合の二つに分けて説明した。

 ①の場合、相続で資産価値の低い土地や、管理が難しい土地の所有者になってしまった例を挙げて説明した。亡くなった父親が、原野商法で資産価値の全くない土地を購入していたのを知らず、それを相続することになった場合や、空き家が建つ土地を相続する場合について説明。相続放棄や所有権放棄が問題解決になるかどうかなど、具体的な方法についても話した。

 ②の場合、隣の空き家で迷惑を被っているので、所有者に対処を要請したいが、所有者が不明の場合や、空き地を購入したいが所有者が分からない時、どうしたら良いかを解説した。土地登記簿の取得から始まり、財産管理人制度の利用、特別代理人選定で裁判を行う、自治体の資産税課の協力を仰ぐ方法などを説明した。

 最後に「もし、当事者になった時は、多少費用と時間はかかりますが、所有者不明の土地を生まないように、必ず相続登記を行ってください」と呼びかけた。