会員制の観劇団体「旭川市民劇場」の七月例会が七月十三日(木)午後六時半から、十四日(金)午後一時半からの二回、市公会堂(常磐公園内)で行われる。出し物は、青年劇場の「みすてられた島」(中島留章仁=作・演出)。敗戦直後に作られた幻の〝大島憲法〟に想を得た近未来劇だ。

 劇団の福島明夫代表から届いた、「みすてられたすべての人びとに」とタイトルがついた「旭川へのメッセージ」を紹介する。

 「みすてられた島」というタイトルで、皆さまは何を連想されるでしょうか。

 もちろんすでにあらすじをご存じの方は、伊豆大島がそのモデルになっているから、とお答えになるのだとは思います。それは確かにそうなのですが、このタイトルそれ自身に込めた思いはちょっと違うのです。

 というのもこの作品作りのスタートで、作者中津留氏と話したのは、どうしてこんなに政治や社会と距離があるのだろうか、それを縮める状況が生まれるとすれば、どのような事態だろうか、ということだったのです。つまり、この「みすてられた」はとりもなおさず、私たち自身の実感からスタートしています。

 昨年「保育園、落ちた。日本死ネ」という言葉が世の中に流布しましたが、先祖代々の仕事や郷里、あるいは自分の暮らしそのものが「見捨てられている」人々は、枚挙に暇がありません。沖縄や福島、あるいは全国に生まれている限界集落はもちろんのこととして、「見捨てられた感」は半端なものではないように思います。それは皆さんにとっては自明のことであって、今更くだくだ説明することでもないでしょう。その意味で、この島は、皆さんが住んでいる町のことと思っていただきたいのです。

 で、「見捨てられた」人々と言うからには、一方に「見捨てる人々」「見捨てる社会」がそこに存在していることになります。人類の歴史はその「見捨て」を必然としてきたのだと言う人もいますが、では、今の見捨てる側に未来に向かう論理、倫理はあるのでしょうか。人々の活力、やる気を奪ってばかりではないのか、と思うのです。

 この作品は、すべてのみすてられたと感じている人々に、そろそろ居直っていいんじゃないですか、という問いかけです。未来を作るのは、今「見捨てられている人々」ではないのか、であれば、その人たちが集まって私たちの「島」を作りませんか、というメッセージなのです。

 市民劇場の会員になると、年六回演劇を鑑賞できます。入会金は二千円、月会費は一般二千五百円、大学生千円、高校生以下五百円です。毎回昼公演(午後一時半から)と、夜公演(午後六時半から)があります。

 例会は会員の手で運営されます。俳優やスタッフとの交流会もあります。

 問い合わせは、事務局(市内三ノ八緑橋ビル一号館二階・TEL23―1655)へ。