旭川市内の五つの高校に通う生徒が「先生」となって授業を行う「大人の学校」が二月二十三日、市民活動交流センターで開かれた。市民団体「タテ×ヨコ×ナナメ つながる教育を考える」(松村順代表・52)の主催。

 旭川商業高校で教鞭をとる松村さんが、高校教育の現状や高校生の学びの姿を知ってもらおうと、教員仲間らに呼び掛けて初めて実施した。

 先生役になったのは、旭川商業、旭川農業、旭川北、旭川工業、旭川西の生徒たち十九人。学校ごとに一時限(五十分)を担当し、参加した大人二十人に授業を行った。

 チャイムが鳴った後、朝一番に「登校」したということで日直に指名された「生徒」が号令をかけ、一時間目「会計について」が始まった。旭川商業高校会計科二年の藤田里奈さん(17)が、「カレーライスを作るべきか、外食すべきか」という問いを題材に、意思決定会計の考え方や有効性について解説。金額で表すことのできない要素を考慮する必要性も示しながら、「なんとなく思っていることを数値化してみましょう」と締めくくった。

 五時間目の「課題研究発表」では、旭川西高の三グループが、それぞれの研究について発表した。人間とプログラムが対等に戦えるボードゲームの作成を目指し、ゲーム「デモナ」の開発に携わった、旭川西高理数科二年の板倉詩桜(しおん)さん(17)は、「研究テーマを何にするか、一から作るか、どうするかといったことを決めるまでが大変でした」と話す。

 市内に住む志野原希さん(39)は、「授業は楽しかったです。十歳の娘がいて、本人は高校についてまだよく分かっていないようですが、話をすることがあります。高校生が授業する姿を見て、こんなお兄さん、お姉さんになりたいと、感じられる機会があるといいですよね」と話した。

 参加者の反応はよく、次の開催を期待する声が上がっている。主催者も、形式や内容を検討し、継続する意向を示している。