創業から百周年を迎えた廣野組(田中実社長)が四月二十七日、旭山動物園にエゾタヌキ放飼場を寄贈し、贈呈式が夏期開園のオープニングに続いて行われた。式には、廣野組の田中社長や廣野仁美取締役ら、旭川市からは西川将人市長や坂東元園長ら関係者約二十人が出席した。

 廣野組は一九一九年(大正八年)に創業。大正・昭和・平成と市内建設業界を牽引する役割を果たし、道内外で多くの土木・建築事業を手がけてきた。

 エゾタヌキを放し飼いにする放飼場がなかった同園の意向を受けて、廣野組が建設した。放飼場の広さは約百八十平方㍍。北海道産動物コーナーの一角の斜面に作られた。建設担当者は「これだけ勾配のある斜面をアクリル板で囲むのは結構難しかった」と苦労を話した。放飼場の正面には、中が空洞になった直径一㍍三十㌢ほどの大木が置かれ、エゾタヌキがここに入り込んでいる様子を、のぞき窓から観察できるようになっている。

 田中社長は「激動の時代を乗り越え、当社が百周年を迎えることができたのも関係者と市民のご協力の賜物と思っています。寄贈させていただいたエゾタヌキ放飼場が、旭山動物園の入園者の増加につながるよう寄与できればと思います。世界の旭山動物園となるよう祈念します」と挨拶した。

 西川市長は「夏期の開園日にエゾタヌキ放飼場を寄贈していただき、多くの入園者に見てもらえると思っています。北海道の小動物を展示しているこのコーナーで、エゾタヌキは人気がある動物です。放飼場の完成でより関心を持ってもらえると思います。感謝いたします」とお礼を述べた。

 この後、テープカットが行われ、三匹の雌タヌキが放たれると、多くの来園者から「オーッ!」という歓声があがった。

 廣野組は、十七日に市立旭川病院に訪問看護用車一台と車椅子十七台も贈っている。