「アーティスト・イン・レジデンスあさひかわ(AIRA)」の招へいアーティスト、翻訳家の川野太郎さん(29)が九月下旬、旭東高で翻訳ワークショップを行った。同校が実施するキャリア教育企画「学びのフローラ」の一環で、一、二年生約三十人が参加した。

 川野さんが翻訳を手がけた絵本を使って、生徒らが実際に翻訳するというワークショップ。一日目は、原文を音読して大まかなストーリーを把握したのち、グループに分かれてディスカッション。二日目は、生徒らが実際に翻訳した内容について川野さんが解説、という二回に分けて実施された。

 川野さんは、生徒が翻訳した文章をいくつか取り上げながら、訳す時のポイントについて解説。「絵本では、すべてを言葉で説明しないことによって、作品の緊張感が増し、語りもシンプルになります。本を読んだ人が発見できる余地をつくることも大切です」と話した。また、生徒から提出された訳の中には、川野さんが「絵本が重版になった時は、ここだけこの訳に変えたいかも」と評価する場面も。

 ワークショップに参加した二年生の島倉和樹さん(16)は、「日本語に翻訳された本を読む機会も多く、翻訳することがどういう感覚なのかを知りたくて参加した。小さい頃に読んでいた絵本は、意図的に子どもの考える力を養うつくりになっているのだと納得しました」と話した。

 最後に川野さんは、「一カ月の滞在期間の締めくくりがこのワークショップで良かった。楽しかったので、また来れるようにしたいと思います」と感想を述べた。