旭川農業高校(永山町十四)が四月から、髙砂酒造(市内宮下通 十七)や地域の企業・団体などと協力して、日本酒醸造プロジェクトを進めている。

 同校が所有する水田の一部、三千七百五十平方㍍で酒米を栽培し、約二十五俵(千五百㌔)を生産。七百二十㍉㍑瓶四千本分の日本酒を醸造する計画だ。日本酒の醸造に加え、その過程で出た酒かすを利用した商品開発も同校の生徒らが並行して行う。

 このプロジェクトでは一年をかけて、日本酒醸造の流れや商品化までの過程を学ぶ。これまで、同社の杜氏による日本酒講話のほか、種まきや商品のロゴ、ラベルデザインの検討などを行ってきた。

 五月二十六日には、同校農業科学科水稲班の二、三年生十六人と食品科学科肉加工班の二、三年生十一人のほか、同社の社員六人が参加して、田植え機と手植えの両方で酒米の田植えが行われた。初年度に作付けする品種は、初めての酒米の栽培であることから、寒さに強く作りやすい道産酒造好適米「きたしずく」を選んだ。

 同校農業科学科の相馬宏顕教諭は「酒米は、うるち米やもち米に比べ草丈が高く倒れやすいため、管理が少し難しくなります。これからは生育の記録を細かく取るなどして、次年度以降の活動につなげていきたい」と話す。

 今後は、上川農業改良普及センターの担当者による講習会が行われるほか、定期的な経過観察を行い、十月初旬の収穫を目指す。完成した日本酒は、生徒たちが成人する二年後以降に贈られる予定だ。

 手植えを担当した肉加工班三年・片桐鈴蘭(れいら)さん(17)は「田植えは上手くできたとは言えませんが楽しかったです。私たち肉加工班は、酒かすを食べて育った『旭高砂牛』を加工した食品を開発します。今もどのようなものを作ろうかと試行錯誤していて、これからが楽しみですね」と笑顔で話した。(東寛樹)