旭川農業高校(永山町十四)が今年四月から、髙砂酒造(市内宮下通 十七)や地域の企業・団体などと協力して、日本酒醸造プロジェクトを進めている。
 同校所有の三千七百五十平方㍍の水田で、道産酒造好適米「きたしずく」を二十八俵(千六百八十㌔)生産・収穫し、四合瓶(七百二十㍉㍑)で約四千本分の日本酒を醸造する計画だ。同校で酒米を栽培するのは初めての試み。

 さらに、醸造の過程で出た酒粕(さけかす)を利用した商品開発を並行して行うほか、杜氏による日本酒講話、商品のロゴやラベルデザインの検討など、日本酒醸造の流れや商品化までの過程なども学んできた。

 九月二十九日、同校農業科学科水稲班の二、三年生十五人と同社の社員ら九人が収穫作業を行った。田んぼの四隅を手刈りした後、コンバインで収穫。稲の実りが良く、目指していた二十八俵を十分に超える量が収穫できた。だが、農業科学科の相馬宏顕教諭は「今夏の記録的な高温が、酒米の品質にどれだけ影響しているか」と懸念する。

 髙砂酒造企画部の廣野徹部長は「弊社の杜氏はこれまでも様々な状況に対応してきているので、高温障害があっても問題ないでしょう。生徒の皆さんが楽しみながら取り組んでくれていて嬉しい。これで弊社にバトンが渡ったので、みんなの思いが込められた酒米で美味しいお酒を造ります」と意気込む。今後は、来年二月に日本酒を仕込み、五月の完成・発売を目指している。

 同校水稲班二年・中井明斗(はると)さん(17)は「稲刈りは初めてだったけど、鎌の使い方も想像より難しくなく、楽しくできました。自分たちが育てた酒米が美味しいお酒になるのかどうか、不安と期待が入り混じっています」と笑顔で話した。(東寛樹)