社会医療法人元生会(森山領理事長)の森山病院が二〇二一年度救急医療功労者の厚生労働大臣表彰を受賞した。

 長年にわたり地域の救急医療の確保と救急医療対策の推進に貢献したことが評価された。

 同病院は一九五二年、道内初の整形外科病院として開業して以降、救急患者を二十四時間・三百六十五日受け入れている。

 森山理事長は「道内で初めての整形外科病院でしたので、道内各地から患者が来ており、父は午前六時から午後七時までの診療後、手術もしていました。そこに救急患者が運び込まれるので、それこそ“戦場”のような忙しさで、小学校低学年までは父と一緒にご飯を食べた記憶がありませんでした」と振り返る。

 六四年、道の救急指定病院に指定され、市内における救急病院としての役割はますます大きくなった。

 二〇二〇年の救急車受け入れ数は千三百五十件、救急車を使わないで来院する救急患者(ウオークイン患者)を含めると二千三百九十八人にもなる。旭川赤十字病院や市立旭川病院などの公的病院に次ぐ、五番目の多さだ。

 救急医療体制を維持していくには多くの課題がある。森山理事長は「激務の救急医療に取り組もうとする医師をはじめとするスタッフの確保や施設拡充など、人員確保と経営面の苦労が絶えない」と語る。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、公的病院が一般救急患者の受け入れが厳しい状況下では、民間病院の救急患者受け入れが重要になっており、同病院に運び込まれる救急患者も増加傾向にある。

 「コロナ下で、市内医療機関は役割分担をしており、感染症病棟がある公的病院の後方支援的な役割を、私たち民間病院は担っている」と森山理事長。

 同病院は、剣渕町や和寒町と地域医療に関する包括連携協定を結んでおり、両町からの患者や救急患者も増加している。

 昨年十一月、現在地に新病院を移転オープンした時、旭川医科大学救急部からの応援を受け、救急医療体制の充実を図った。

 森山理事長は今回の表彰について「これまで多くの職員たちが救急医療に取り組んできたことへの表彰。職員たちの苦労に心から感謝したい。今後ともますます充実した救急医療を続けていかなければという思いを強くしました」と笑顔で語った。

 同表彰は今年度、全国十三団体・二十四人が受賞。道内では森山病院が唯一表彰された。(佐久間和久)