戦時下の強制労働で犠牲になった日本人や朝鮮人の遺骨・遺品などを展示してきた「笹の墓標展示館」(幌加内町朱鞠内)の巡回展が、三浦綾子記念文学館(市内神楽七ノ八)で開かれている。

 アジア太平洋戦争の真っただ中、朱鞠内に建設された雨竜ダムや旧国鉄深名線の工事では、数千人もの日本人や朝鮮人労働者が強制的に動員され、劣悪な労働環境の下で多くの犠牲者を出した。

 笹の墓標展示館は、犠牲者が収容された旧光顕寺を転用して、発掘された遺骨などを安置するほか、強制労働の歴史を紹介するため、位牌や遺品などを展示してきた。しかし二〇二〇年、大雪の影響で倒壊。実行委員会が再建に向けて、募金活動やクラウドファンディングなどを行っている。

 巡回展では、雨竜ダムや旧深名線鉄道工事、旧陸軍・浅茅野飛行場建設工事(猿払村)などで犠牲になった日本人と朝鮮人の位牌、骨箱、副葬品のほか、発掘調査を紹介するパネルなどが展示されている。

 笹の墓標展示館再生実行委員会の共同代表・殿平善彦さん(76)は「強制労働によって犠牲になった人は、つらい思いをしたうえに報われないまま今日を迎えています。このような歴史の事実を日本の社会にしっかり伝えていきたい。改めて過去の歴史をきっちり自覚しなければ、東アジアの人びととの本当の和解や友情は育たないでしょう。犠牲者に敬意を表しながら追悼して、再び同じようなことが起こらないための一助になればと思っています」と話す。

 展示は三十一日(日)まで。開館時間は午前九時~午後五時(最終日は三時まで)。会期中無休。文学館の入館料は、大人・七百円、学生・三百円(十人以上の団体は百円引き)。小中高生と賛助会員は無料。

 また同期間、こども冨貴堂(七条買物公園)でもパネル展示や関連書籍の販売などを行っている。

 問い合わせは実行委員会事務局(TEL0164―27―2359)へ。(東寛樹)