日本一のローズマリー畑
22㌃に1万2000株
 東川町に住む松家農園の松家源一さん(74)は五年前、手探りでローズマリーの栽培を始め、現在では二十二㌃の畑に一万二千株のローズマリーを栽培している。日本一広いローズマリー畑だという。


 ローズマリーはハーブティーや料理のスパイスとして使われ、記憶力や集中力を高める作用や、血行を促して消化機能を高め、新陳代謝を促進する効果もあるといわれているが、日常生活の中で使われる例は少ない。

 松家さんはローズマリーの認知度を上げたいと、これまで旭川医大の協力を得てローズマリーの効能の検証を行ったり、ポットに植栽を行う体験会や料理の専門家を招いてのローズマリーを使った料理の講習会などを開いてきた。と、同時にローズマリーを使った商品の開発にも取り組んできた。

 松家さんが開発したローズマリーの商品が十日、「空の日」にちなんで旭川空港で開かれるエアポートマルシェで展示・販売される(午前十時~午後三時)。香り袋やスプレー、キャンディ(あめ)、ソルト(塩)、パウダー、それに「世界で初めての商品だと思うよ」というローズマリーワインやローズマリートマト、ローズマリーオニオンなどのビネガー(酢)だ。

原料を3年前から買い、
乾燥させ保管
 酢(ビネガー)を作るには、発酵という過程を経なければならないが、ローズマリーには抗酸化力や抗菌作用があるため、ローズマリーを原料とした酢を製造することは「無理」と言われていたという。松家さんは、食品研究所の元職員の協力を得て、ローズマリーから独自の製法で酢を作ることに成功。それを商品化した。

 ローズマリー単品だけでなく、ブドウやトマト、オニオン(タマネギ)、ガーリック(ニンニク)、レッドオニオンを加えた六種類だ。
 ブドウはワイン、トマトはジュースの製造過程から出る副産物を購入した。タマネギは皮を活用した。タマネギの皮には抗酸化力の強いケルセチンという成分が多く含まれ、抗ガン効果もあると言われている。最近はお茶として、飲まれている。

 「農作物の表面部分には、人に有益な成分が多く含まれている。これを活用しようと思いました。購入しているこれら全ては無農薬、有機栽培で作られたものです。三年前から買い求め、乾燥させ保管していました」と、準備を整えてきた。

 一番のお勧めは、炭酸水か水に適量のビネガーを加える「ビネガー・ドリンク」。ローズマリーがオニオンやガーリックなどの強い特性をやわらげ、非常に飲みやすいドリンクになる。

 「次は石鹸(せっけん)やクリーム、シャンプーなどのコスメ。すでに試作品は出来ている」と語る。

 松家さんは屋外でのローズマリーのほか、ビニールハウス内にも、ローズマリーやオリーブ、ハバネロを栽培している。「オリーブにも抗酸化力があり、辛味の強いハバネロは人の体温を上げる作用がある。これらも従前のものと組み合わせることで、目的に合わせ、多くの人に有用なものを作り出すことができる」と発想は尽きない。

 エアポートマルシェで販売した商品は、十月一日から、道の駅ひがしかわ「道草館」(東町一、TEL68―4777)で販売される。またネット通販でも購入できる(松家農園で検索)。(佐久間和久)