「小野千代 絵本原画展」が三月十五日(水)から二十一日(火)まで、市民ギャラリー(宮下十一、蔵囲夢内)で開かれます。主催はギャラリーミクロコスモス(村田和子代表)。

 絵本作家の小野さんは宝生流シテ方能楽師近藤禮の次女として、東京都滝野川区(現在の北区)に生まれました。一九四五年三月四日の空襲で、能舞台のあった家が焼け、千代さんを助けようとした兄の禮之助さんを失ってしまいました。家族とともに小樽市に疎開。月形町にあった修道院での生活を綴った日記に絵を付け、後年『花と木沓(サボ)』を制作しました。

 東京に戻った二十代後半、「週刊新潮」の表紙を手がけていた画家谷内六郎さんに見てもらいたくて、持参したところ、絶賛され絵本作家の道へ進むことに。当時、皇太子妃だった上皇后美智子さまもご覧になりました。

 谷内さんから『花と木沓』の出版を勧められましたが、「隠していたい私的な宝物であり、且つ関係者に迷惑をかけたくない」と、エッセー集に日記のみを納めるにとどまっていました。今年、米寿を迎えるにあたり十年来の友人近島哲夫さん(66)の強い勧めで自費出版(幻冬舎刊)しました。
 村田代表は「当ギャラリーが旭川に二十五年間在住し、二〇一四年急逝した岩田道夫の作品集を出版するにあたり、近島さんに多大なご協力をいただいています。その縁で小野さんの絵本原画展を開催することになりました」と語る。

 小野さんには同書の他、『ひとりぼっちのねこ』や『おたすけねこさん』、『つきがでた』、アイヌの古老から聞かせてもらった話をもとにした『こたんこるかむい』など多くの作品があります。

 原画展では約四十点が展示されます。初日の十五日はオープニング特別企画として午後一時から四時まで、小野さんの琉球舞踊と講話が行われます。参加料三千円。五十席限定で予約が必要です。
 原画展の開館時間は午前十一時から午後五時まで(最終日は午後四時まで)。

 特別企画の申し込みと問い合わせは、村田代表(TEL 080―5581―3567、FAX 22―3567、メール kazukomurata0718@gmail.com)へ。