国連を通し2回寄付

 「ウクライナの悲惨な報道を見るたび、何かできないかと思っていましたが、画商としての私ができることは、こんなことぐらいでした」と東川町でアートギャラリー・ルージュを経営する山地克紀さん(79)。

 ルージュでは三十日(日)まで、ウクライナ支援を目的にした「ウクライナ絵画展」が行われている。十四人のウクライナとチェコ、リトアニアの画家たちの二十五点の作品のほか、竹久夢二や中原淳一、棟方志功、ルオー、ルノワール、シャガールなど国内外の画家の作品を展示・即売している。
 山地さんは、これまで東川町複合交流センター・せんとぴゅあや山形市など、町内外の三会場でこの絵画展を実施。今回は四回目。ウクライナの画家たちの作品を購入し、他の画家たちの作品とともに販売。益金の一部を寄付してきた。国連のUNHCRW(難民高等弁務官事務所)を通して二回の寄付を行った。

 山地さんは英語の教師だったが、四十歳半ば頃、奥さんの富美子さん(75)が職業としていた画商に転職。二人で主に全国のデパートなどで開催する絵画の展示・即売を手がける仕事をしてきたが、二年前に「何か、恩返しを」と生まれ故郷の東川町に戻って、ルージュを開業した。

ロウソクの薄暗い中で創作

 この絵画展の開催にあたり、ウクライナの画家とは交流がなかったことから、旧知のチェコの画商を通して作品購入の交渉をした。絵画展の趣旨を説明すると、たいへん喜んでくれたという。

 そのうちの一人、オレグ・デニセンコの緻密な銅版画「星の王子様」も展示されている。山地さんは「テレビの放映を見ると、デニセンコさんはロウソクの火の薄暗い中で、緻密な作業をしていました。『星の王子様』のような明るい画風ではありませんでした。作品も自由に販売することもできず、生活も苦しいと思います」と語った。

 最近見た彼の作品には、クマに見立てたプーチンを踏みつけているもので『良き狩り』という題名が付けられている。彼の怒りの心情を表現したものだ。

 玄関を入ると、手前の空間がウクライナの画家たちの作品が展示されており、奥の空間にそれ以外の画家たちの作品が並んでいる。二つの異なる雰囲気を感じるのも、この絵画展の魅力だ。会場の一角には募金箱も置かれていた。

 開館は毎週金曜日から日曜日の、午前十時から午後五時まで。

 問い合わせは、同ギャラリー(TEL 82―2517、東川町南町二丁目二―十二 〈成田鉄工所隣〉 )へ。(佐久間和久)