「ASAHIKAWA DESIGN WEEK(あさひかわデザインウィーク・ADW)2023」が十七日(土)からスタートする。あさひかわデザインウィーク実行委員会(渡辺直行会長)の主催。

 ADWはものづくりのまち・旭川を国内外にPRする目的で二〇一五年に始まり、今回が八回目。二十五日(日)までの九日間、開催される。
 旭川市は一九年、ユネスコ創造都市ネットワークのデザイン分野への加盟が認められ、世界のデザイン都市に仲間入り。以降、多様なデザイン活動を進めてきた。

 今年のADWでは「世界とつながります。」をテーマに、さらにネットワークを広げ、海外からも多くのゲストを招へい。国際的なデザインイベントとして、世界とつながる場を提供することを目指している。

「持続可能な未来をデザインする」

 シンポジウムで基調講演

 中でも注目は、二十日(火)午後二時から、市公会堂(常磐公園)で開かれる「デザイン創造都市旭川シンポジウム」。

 同シンポは二部制で、「持続可能な未来をデザインする」がテーマ。前半は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)シニアキュレーターのパオラ・アントネッリ氏による基調講演が行われる。

 MoMAは一九二九年に創設されて以降、ピカソ、セザンヌ、ゴッホといった巨匠の絵画作品や、アメリカ現代美術作品をコレクションするだけでなく、三〇年代にいち早く、建築・デザイン、映画、家具など、従来の芸術分野にはなかったアートに注目。斬新な展覧会を開催し、世界的な地位を確立してきた。二〇一〇年、Eメールに欠かせない「@マーク」を永久収蔵品に加えたほか、NTT DOCOMOが携帯電話に導入した「絵文字」や、グーグルマップの「ピン」なども収蔵されている。

 アントネッリ氏は一九九四年から、キュレーターとして同館に加わり、数々の先進的な展覧会を企画。二〇一二年には、「パックマン」や「テトリス」など十四本のビデオゲームを収蔵して大きな反響を呼んだ。デザイン、建築、芸術、科学、テクノロジーなどを組み合わせ、見過ごされがちな日常のできごとに対するデザインの影響について研究を続けている。

 後半は、国内外で活躍する各分野のリーダーたちによるパネルディスカッション。森俊子(ハーバード大学大学院教授)、岩佐十良(自遊人代表取締役)、馬奈木俊介(九州大学大学院教授)の三氏がパネリスト、川上典李子氏(デザインジャーナリスト)がモデレーターを務め、多様な視点から「持続可能な未来への道しるべ」を模索する。

 シンポジウムは事前申し込み制で、オンライン配信も行われる。参加料は会場・オンラインともに二千円。会場の定員は七百人。申し込みは十八日(日)まで(オンライン参加は十九日まで)に、公式ホームページ(https://adwhokkaido.com/)から。

 そのほか、親子で買物公園を歩きながらSDGsやデザインを学べる「まちなかキャンパス」(十七、十八日)や、旭川家具の産地を訪れる意味と楽しさが実感できる「Meet up Furniture Asahikawa 2023」(二十一~二十五日)など多様なイベントが、旭川デザインセンターや大雪クリスタルホール、買物公園、市内・近郊町の各メーカー・工房などを会場に開かれる。

 渡辺会長は「今年はさらに輪を広げ、将来を担う子どもたちや学生の皆さんが楽しく学べる催しを準備するなど、誰もが参加できるイベントを目指します。ADWの大きなテーマは、地域の森(自然)の豊かな資産をデザインの力で活かし、持続可能で幸せな未来をつくること。無理に急いで、見せかけのデザイン都市を目指すのではなく、できるだけ多くの地域の皆さんに、デザインの面白さや力を理解していただくことから始めたいと思っています。デザインリテラシーを高め、地方でなければ成しえない世界感を発信していけたら」と話す。

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 期間中に開催される各種イベントの情報は、公式ホームページ(同)などで確認できる。

 問い合わせは事務局(TEL 74―3355)へ。(東寛樹)